”ただ、愛されたかった…”
 沙織のもう一つの嘘は、

 美容院での先輩達との関係だった。

 上手くいっているどころか、二人の先輩(先生の娘)に

 いじめられているような状況だった…。

 楽しい事など、一つもないらしい…。

 仕事もお客様との応対も、うまくいかない。

 ターバン(パーマの時にかえるタオル)一つ変えるのも、注意ばかりされて、

 もう、嫌だ…。

 みたいな内容だった。

 
 初めて聞いた沙織の弱音だった…。

 
 …私と、かわらない…。

 瑠理は、そう思った…。

 
 もともと、沙織は、積極的な性格で、わりと誰ともうまくやってた。

 言いづらかったんだろうな…。

 なんか、すごくわかる気がした……。
 
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