”ただ、愛されたかった…”

 「先生、お話があるんですけど…。」

 最近、先生の体調も、戻ってきた。

 瑠理は、仕事が終わった後、

 ”辞めたい”と、先生に話した。


 「いつか、そう言ってくるだろうと、

 思っていました。お母さんには、言って

 あるの?」


 瑠理は、電話で、母を説得していた。

 最初は、我慢しなさいと、言っていた

 母も、昨日ようやく、わかってくれた。

 わかってくれたというより、このままでは、

 瑠理が、どこかに行ってしまうとでも、

 思ったのだろう。


 3人で、話し合う事に決まった。


 瑠理の決心は、固かった。

 丸め込まれたくは無い。

 だからといって、今更、今までの事を、

 全て、言うつもりは無い。

 とにかく、辞めれればよかった。



 自分の人生を、切り開くのに、何故か

 ここにいては、いけない気がした。

 辞める理由は、一つに絞った。
< 52 / 207 >

この作品をシェア

pagetop