”ただ、愛されたかった…”

 「私、喫茶店の仕事をする為ではなく、

 美容院で働くために、来たんです。

 そういうの、嫌なんです。」


 瑠理は、先生にその事だけ、強調した。

 
 それに、対し、先生は、


 「でもね、ここでは、洋子さん(先輩)も

 美穂さん(先輩)も、さゆみさん(先輩)も

 みんな喫茶店手伝っているでしょ。」


 瑠理は、そういう言葉では、

 納得出来なかった。


 瑠理は、思わず口走っていた。

 
 「先生、十人十色って言葉、ありますよね。

 私は、洋子さんとも、美穂さんとも、さゆみ

 さんとも違います。」


 先生は、黙っている…。

 母も、黙って聞いていた…。


 少し、沈黙があった。


 母が、話し始めた。

 「先生、こんな状態では、頑張っても、

 うまくいかないでしょう?瑠理を、連れて

 帰ります。」


 「でも、荷物もあるし…」

 と先生が、言いかけたと、同時位に、

  
 「荷物、昨日の夜中まとめておきました。

 先生お世話になりました。」


 
 瑠理の住み込み生活は、終わった…。
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