”ただ、愛されたかった…”
 一週間に一回、勉強会があった。

 他の日は、自主練。(強制的ではない勉強会)

 瑠理は、週に一度の勉強会は、参加していたが、他の日は、

 参加していなかった。

 お店が、終わる頃を、見計らって、沙織や、ゆかりが、

 遊びの誘いに来る。

 その日も、お店が終わって、帰ろうとした。

 いつもの様に外で、沙織とゆかりが待っている。

 オーナーに呼び止められた。

 「瑠理ちゃん、もうちょっと、勉強してよ。やる気を

 見せて頂戴よ。」

 オーナーの言葉に、やばいとか、もう少し頑張ろうとか

 少しも思わなかった。瑠理の目標は、明確。今しか出来ない事が

 大切だった。友達が、一番大切だった。

 瑠理は、この気持ちを、オーナーに説明しようと思った。

 紙と鉛筆を持ってきて、紙いっぱいにに、大きなマルを書いた。

 大きなマルの中に、小さなマルも書いた。

 小さなマルに友達と書いた。(一番大切な物)

 余白に、仕事と書いた。(ドーナツで例えたら、穴の部分に友達、

 ドーナツの部分に仕事)

 「私の今一番大切な物は、友達なんです。オーナーは、仕事が、

 真ん中の中心にきますよね。私と、オーナーは、状況が、違うんです。

 だから、行動も違ってきます」

 オーナーは、なにも言わず瑠理を、見つめている。

 瑠理は、てっきり、オーナーは、理解してくれたと思い、

 スッキリした気分で、沙織とゆかりの所に、走っていった。


 オーナーが、言葉を忘れる位、びっくりした発言だったのでしょう…。
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