”ただ、愛されたかった…”
「私は、今までこのお店が大好きでした。

 でも、たった今、嫌いになりました。

 嫌いになった人間が、このお店で働くのは

 お店にとってマイナスでしょ?

 私の為にもよくないです。

 だから、今、お店を辞めます。お世話になりました。」


 オーナーは、黙っている…。

 その黙っている事に、余計腹が立った…。

 正直、少し止めてほしかった…。

 
 言葉が、止まらない…。

「オーナーは、これから先、若い子は使えないのではないですか?

 だって、気持ちが判らないでしょ?

 パートのおばさんでも雇ったらどうですか?」

 やっぱり、オーナーは、黙っている…。


 瑠理は、形だけのあいさつをして、お店を出て行った…。

 お店を、辞めてしまった…。


 
 モヤモヤとした感情だけが、残った。

 


 
< 88 / 207 >

この作品をシェア

pagetop