ゴシップ・ガーデン
肩くらいの長さの
ウェーブはいった茶髪を
センスよくハーフアップにまとめてる。

横から見ても
こぼれそうなくらい大きな瞳。

アイドルみたいに可愛い女の人。

着てる服も
雑誌に出てくるみたいなオシャレで、

地味なあたしじゃ
絶対着れないな。



その女の人は、
腕時計の時間を確かめて、

雑誌を元に戻し、
ピンヒールを軽やかに
カツカツ鳴らして外へ出た。


駅方向にむかっている。



別につけてるわけじゃない。

同じ方向だから仕方ない。



あたしは少し離れて
後ろを歩いた。


休日だからか、駅前は人が多い。


良いなぁ、大人は。

これから
飲みに行ったりするんだろうな。



女の人の
チュールのミニスカが
フワリと弾んだ。


待ち合わせの相手を見つけて
早足になった。



駆け寄る相手の男は、


ヒオカ先生だった。




体中から血の気が引いた。



女の人に歩みよる
ヒオカ先生の姿を見て、

嘘でしょ?って思うより、
頭の片隅ではやっぱりって思った。


違うと思いたかった。


だからあの女の人の行く先を
目で追いかけてたんだ。


あたしのわずかな期待は
打ち砕かれて、

心がバラバラ崩れていくのを感じた。



ショックだ。



その女の人は、
千夏姉の結婚パーティーで目撃した女。


ヒオカ先生を
『修ちゃん』って呼んでた女。




…二人で…もしかしてデート?


もしかして、
つき合ってたりするのかな?




“取られたら取り返せなくなるよ”


千夏姉の言葉が
頭の中にこだまする。


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