ゴシップ・ガーデン
建て替えが
ほぼ完了したうちの高校は、

コンクリートと芝生で整備され、
手入れの行き届いた
先住者のいる花壇…と、

外観に無駄がなく整えられている。



必死で探したけど、
植え替えに使えそうな場所は、

図書館の横の一角の花壇。

目分量で
今の半分しかない広さだった。


秋にむけて
何かの苗を植える予定がある
花壇だったけど、

校長に頼みこんで
バラに譲ってもらった。



全てのバラを
移動できる訳じゃない。


心が痛む選択だったけど…。




「佐野さんが見せてくれたの。
写真を」


錦織先生が、
ヒオカ先生に話しかける。


「写真?」


「そう、こないだの、春のバラ。
すごかった。
あんなにキレイに咲かせてくれて、
うれしかったわ。

だから力になりたいって、
今日来たのよ」



本当にうれしそうに錦織先生は、
「ここまで育て上げてくれて
ありがとうね」と言った。



「いえ、こちらこそ
来てくださって、
ありがとうございます」


ヒオカ先生は、
はにかみながら頭を下げた。



「でもヒオカくん、
先に植え替えやってたのね」



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