ゴシップ・ガーデン
錦織先生は、
花壇の一部を指差し
ニヤっと笑った。


「三株くらい
掘られたあとがあるわ」



照れ臭さかったのか、
ヒオカ先生はバツが悪そうに
小さくうなずいて、

「用意、持ってきます」
って走って行った。



すぐに戻ってきたヒオカ先生は、
何段かに重ねた大きな植木鉢を
抱えている。



「少しずつだけど
俺も植え替え挑戦してたんだ。

上手く根付くか
わかんないけどね」


あたしの横に来て、
植木鉢を置きながら
ヒオカ先生は苦笑いした。


「実家と祖父母の家に
3株ずつくらい
置かせてもらえることになったから、
鉢植えに植えて持って行く。

話したら
他にも欲しがってくれる人もいて」


でもそれで限界だ。

俺一人なら、
ろくな数しか動かせないから。


そうつぶやいて、
照れ隠しだろうか、
無愛想に視線をはずして

ヒオカ先生はスコップを手に
花壇に踏み行った。



ヒオカ先生は、
ここのバラを
あきらめてた訳じゃなかった。



「やっぱり。
何も考えてない訳じゃなかったんだ」


からかうように、
背中に声をかける。


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