ゴシップ・ガーデン
翌日も、早朝から
植え替え作業は行われた。


旧校舎の周囲には、
立入禁止のロープがはられている。


解体の作業が
もうすぐ本格的に始まる。



ド素人のあたしは
たいした役には立たないけど、

それでも雑用係に、
と参加していた。


慣れない土いじりに
さっそく筋肉痛。


日中の暑い時間は避けて、
慎重に作業をしてるから
思いのほか時間がかかるみたい。




「大丈夫!
今日は、助っ人呼んでるから」


作業の準備を手伝っていると、
錦織先生が校舎の向こうに
顔を向けた。


「助っ人…ですか?」


聞き返しながら、
錦織先生の視線の先に目をやると、
パラパラと人影が見える。



「おーい、こっちよぉ〜!!」


錦織先生が
大きく手を振るその先から、

ジャージ姿の高校生らしき男女が、
それぞれ園芸道具を手に、
急ぎ足でやって来た。


15人の男女。

錦織先生は
彼らを呼び寄せて紹介した。


「ヒオカくん、佐野さん。
うちの高校の園芸部員たちよ」


「よろしくお願いしまーす」


部員たちは元気よく頭を下げた。



「そっちの端からお願いねぇ!!」


錦織先生は
威勢よく部員たちに指示を出す。


さすが園芸部員だ。

迷うことなく
手際よく作業に移る。


その勢いに圧倒されていると、
ツツツっと錦織先生は、
あたしとヒオカ先生に近づいて言った。


「残ったバラ、うちで引き取るわ」

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