ゴシップ・ガーデン
部屋に戻り、
机にむかってノートを開いたところで、
携帯電話がなった。


千早からメールだ。


長谷 千早(ハセ チハヤ)。

友だちの少ないあたしの
唯一の親友。


小学校時代からの
長い付き合い。


高校も、住む街も
離れてしまったけど。


会えないほどじゃない。
隣の隣の市だから。






母が離婚すると言ったとき、
あたしは大いに反発した。


離婚して
実家近くに引っ越す
って言うから。


隣の隣の市とは言え、
転校しなくちゃならない。


父だけでなく、
それまでずっと一緒だった千早とも
離れ離れなんて…。



嫌だったけど、
どうすることもできなくて、

あたしは中2から
今の街にいる。




あたしはケータイをひらいた。


『シイナは服どうする?

オカンが振り袖着てけって
言うんだけど、

6月なんて暑い時期に
着れるわけないし』



6月に結婚するんだ。


千早のお姉さんの
千夏(チナツ)さんが。



式は親族だけでして、
披露宴はせずに、

友だち中心の
気楽なパーティーだけ
するんだそう。


千早のお姉さんには、
あたしもずいぶん
お世話になったから、

あたしも
パーティーに呼ばれている。




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