ゴシップ・ガーデン
大勢で、バラを守るために
力を合わせている。


青春ドラマみたいだなぁ
と思った。



これでいつものサックスでも
聞こえたら、最高だったかな。



閉鎖された旧校舎を見上げた。

あのサックス奏者は今、
どこで演奏してるんだろう。



暑いな。

昨日に続いて
また日に焼けちゃうかも。



それでもいっか。


ヒオカ先生がうれしそう。


あたし、柄にもなく、
はしゃぎ出したいくらい浮かれてる。


うれしい。


そう、例えるなら満開のバラ。

こんなにも気分が華やぐものなんだ。


恋ってやつは。






慣れた人手が増えて、
作業は一気に進んだ。



すべてのバラは、
裏庭から姿を消した。



うちの高校、錦織先生の高校、
ヒオカ先生の親族と知人。


別々のところに分かれて行って、
バラは寂しい思いをしてるだろうか。


それでも、
それぞれの新しい場所で、
きっと花を咲かせてくれるはず。



誰もいなくなった茶色の花壇に、
夕日が差し込んだ。





「小さくなったね」


錦織先生たちは、
引き上げて行って、
ヒオカ先生と二人になった。


新しい花壇を眺める。


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