ゴシップ・ガーデン
ムキになって口走って、
はっとした。



「…まぁ、
あたしがいたところで、
どうにかなる訳じゃ
ないんだけど…」


しどろもどろ
あたしは視線をそらして
顔を隠すように傘を下げた。




「…そうだよな。
佐野さんも一緒に
頑張ってくれたんだもんな」


ヒオカ先生は、口調を緩めた。



風と、地面と傘に落ちた
雨のしぶきが肌を冷やしていく。

半袖の腕をさすった。



「…風邪ひくよ。
タオル貸すからおいで」



傘を下げた視界から
見えてたヒオカ先生の足元が
くるっと向こうに歩きだした。




警報中の校内は、
薄暗く静かだった。

職員室には電気がついてる。


窓から下を見たら、

部活に来て、
でも今日はもう無理みたいだ、
って帰っていくユニフォーム姿の
生徒がちらほら見える。



当たり前だけど、
こんな日に学校に来たら
かえって先生の迷惑になる。


今さらながら、反省した。


ヒオカ先生が案内してくれたのは、
化学準備室だった。


ヒオカ先生の後ろを
ついて行きながら、

不謹慎にもドキドキしていた。



狭い化学準備室。

扉を閉める音が大きく響いた。



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