ゴシップ・ガーデン
あの女の人との
今の関係も、進展も、
怖くて結局何にも
聞けないままだ。


上手くいってても、
そうでなくても、
どっちにしたって、

あたしには関係ないんだから、
知りたくなかった。




切り返すように見つめ上げた。


「ねぇ、ヒオカ先生、
あたしのことどう思ってる?」



意を決して、
というより、

もういいや、っていう
あきらめ心が強かった。




「どう、って…」

ヒオカ先生は言葉につまって、
迷うような表情を見せた。

何か言いたげな口元の動き。

でも、何も出てこない。



あたしは目を細めて、
ヒオカ先生の心の動きを
とらえようと
必死で見つめたけど、

バカだなって
自分にあきれて小さく笑った。


「いいよ、答えなくって」



聞かなくったって、
わかる。


ヒオカ先生は、
困ってるってこと。


“先生”だから?

それとも、
そもそもあたしじゃ
ダメだから?





あたしは

ヒオカ先生の両頬に
手をかけて、

背伸びした。


近づいて
首を傾けて言った。



「…これで、最後にするから」



唇が触れる寸前で
目を閉じた。



ゆっくり瞬きするようなキス。





「…冷えてるな」


ヒオカ先生は
静かにつぶやいて、
あたしの手に触れた。



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