ゴシップ・ガーデン
8月に入った。



睡眠不足で
頭がぼーっとしてる。


ベッドから
無理矢理体を起こした。



夕べはほとんど眠れてない。


母のせいだ。



母の部屋を開ける。

帰ってきた形跡はなかった。


あたしは
大きくため息をついた。



「もう、どこ行ってんのよ…」



母が黙って家を空けたのは
初めてだった。


相変わらず
母は飲んだくれの日々を
送っていたけど、

ちゃんと帰ってきてたのに。




ケータイ見ても
連絡すら入ってない。


こっちから
何度か電話したっていうのに。



いい歳して、
オールで遊んでるわけ?

でも今日仕事でしょ?


だいたい連絡の一つも
よこさないなんて…。



何度も電話かけたのに、
連絡のない母に、
さすがに心配になって、

電話機の横に立てかけてある
電話帳をめくった。



相手は、母の彼氏。

30代半ばで、
いい大人のくせに茶髪で、

大きなシルバーのアクセつけて、
若いちゃらい男が着るような
Tシャツを着てる。



そんな母の年下彼氏が
あたしは嫌いだったけど、

母が一緒にいる相手は、
この人しか想像がつかなかった。


でも留守電につながった。


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