ゴシップ・ガーデン
「…連れてきてくれて
ありがとうヒオカ先生」


見上げてお礼を言ったら、

ヒオカ先生は、
複雑そうな笑顔を浮かべて、
首をすくめた。


ん?どうかしたの?
って疑問な顔してみせたら、
おずおずと口を開いた。


「勢いで強引に連れてきてしまって、
佐野さんほんとは
迷惑だったんじゃないか…って、

実はちょっと、
今さらながらだけど、
心配になってたんだ」



「何それー。ほんと、
“今さら”だよ」


また吹き出しそうになった。



「だよな、今さら」

つられたように
ヒオカ先生も照れ笑いした。



優しい人。

それに、すごく頼もしかった。


ヒオカ先生の行動が
すごくうれしかった。



「ヒオカ先生、あたし、
あたしやっぱり…」



ヒオカ先生のこと、好きだよ。



言えずに、

「…何でもないや」

代わりに薄く笑みを浮かべた。






図書室に戻ってみたら、

席に置きっぱなしにしてた
ケータイに

母から着信とメールが
入っていた。


電話したけど出なかったから
メールを入れてくれたみたいだ。


メールを開いたら、
簡潔な一文だけが入っていた。



[病院退院したから]



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