ゴシップ・ガーデン
どんな女って…。


「恋愛至上主義的な…」


母性より、恋に生きる女。



母は、あたしがいて、
邪魔だったのではないか…?


あたしがいなければ、
同棲するなり、結婚するなり、

自分の恋愛を優先させることが
できたのではないか…?



早くあたしが出て行けば…。



あたしは、ずっと、
そう思っていた。


なのに、
目の前の母は
あきれたように笑って、

あたしが思っていた逆のことを
さも当たり前のように言った。



「バカ言わないでよ。

男と娘とじゃ、
はかる物差しが違うのよ」


目の前にいるこの人は、
誰なんだろう。


それくらいの思いで
あたしは母を見ていた。


この母から、
こんな言葉が聞けるなんて。



「男の代わりはいるけど、
娘の代わりなんていない。

旦那がいなくてもね、
あんたが産まれて
私は本当にうれしかった」


「嘘」



「こんなこと
嘘なんて言ってどうするの。

子どもを産むって、
女として最高の幸せなのよ。

誰もが簡単に
手に入れられる訳じゃないわ」



普通の母親みたいなことを
言ってる。


この人が、
こんなに普通に
母親だったなんて、
とても信じられなかった。



「だからさ、シイナ、
私に気を遣って
無理に家出て行こうなんて
考えないでよ。

どうしても
やりたいことがあるなら、
良いけどね。

でもそうじゃないなら、
寂しいじゃない」



「…寂しいだなんて、
勝手なこと言わないでよ…」


あたしは散々悩んだ結果、
出ていくことに決めたんだよ?


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