ゴシップ・ガーデン
「…だからって、
**大学なんて超難関じゃん。

今のあたしの偏差値じゃ、
難しいと思うけど」



「そお?
別に謙遜しなくても
いいじゃない。

本気で無理なら
先生も勧めてこないでしょうよ。

…じゃあさ、こうしない?」



話しながら、
何かを思いついたらしい母は、
提案してきた。



「**大学と東京の大学、
両方受けなさい。

で、**大学受かったら、
東京も受かったとしても
**大学に通う。

東京しか受からなかったら、
そんときは、
巣立つ運命だったんだって
思うようにするわ」



なにそれ。


「ていうか、
あたしの進路に
初めて口出してきたね」



「それを言うならシイナよ。
一度だって私に進路の相談
したことないじゃない」


「確かにそうだけどさ…」



「私みたいな母親に相談しても
無駄だって
思ってたんでしょう?」



「どうせ、
あたしみたいな娘は、
言うこと聞かないって
思ってたんでしょう?」



私たちは、顔を見合わせて、
ふきだしそうになった。



「大学かぁ…。
まさか自分の娘が
良い大学行こうなんてね。

まったく誰に似たのかしら」



感慨深げに母は、
クスッと笑って続けた。


「私じゃなくて、
“あの人”に似たのね。

あの人、**大学出身なのよ」


「そうなの?

…確かに頭良くないと
社長なんかできないよね」



「シイナも将来大物になるかも
しれないってことよ。
あ〜、楽しみね♪」


「何言ってんだか」



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