ゴシップ・ガーデン
自習の合間に、
高校の前にあるコンビニに行った。



息抜きにカフェラテだけ
買うつもりが、

レジの前に置かれた
花火に目がいった。


線香花火とライターを買た。



５本入りの小さな線香花火。


これぐらいなら、
アパートの前でも
こっそり楽しめそう。


今日帰ったら、母とやろうかな。



近所の子たちの花火を思い出して、
あたしもほんの少しくらい
夏気分味わいたいかな、
って思って。



あたしの“夏”は、
たったこれだけ（笑）



どうせ母は、
花火なんて男としなさい、
って言うんだろうけど。



苦笑いして、前を見たら、
校門に、日傘をさした女の人が
所在なげに立っている姿が
目に入った。



見覚えあるその女の人を見て、
あたしの足は止まった。



なんで、あの人が…。


溶けるような暑さの中で、
凍りつくような思いがした。



そう、その女の人は、
ヒオカ先生の学生時代の
かつての恋人。


友人の結婚式で再会して、
再び会うようになった女性。



シフォンの柔らかそうなシャツに
クロップドパンツ、
ヒールの高いサンダル。


女らしくてキレイでカワイイ。


髪の束ね方一つとっても
いちいちセンスがイイ。



見れば見るほど、
自信がなくなっていく。


自信なんて元々ないけどさ。



得に結婚パーティーでも
話したりしたわけでもないから、
知り合いってほどじゃない。


あたしが一方的に見てて、
顔覚えちゃったようなもんだから。



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