ゴシップ・ガーデン
だから、気づかないふりして、

校門に立つヒオカ先生の元カノと
距離をとってそそくさと
校内に入ろうとしたら、



「あ!あなた確か…千夏の…」



元カノは、
あたしに気づいたようだ。


小走りであたしに近づいてきた。



仕方なくあたしも、
今元カノに気づいたフリをした。


「あ、はい、
結婚パーティーで…」



「だよね!!あ〜、よかった、
知ってる子に会えて♪」



元カノは、
夏の日差しにも負けないような
眩しい笑顔をした。


あたしはその眩しさから
目を背けた。




「…ヒオカ先生なら、
補習の授業中ですけど」



「そーなんだぁ。

夏休みなのに学校行ってるって
言ってたから、
勢いで来ちゃったはいいけど、
中入っていいかわかんないし、

こんなとこずっと立ってても
不審者みたいじゃない?

どうしようかって
思ってたんだぁ」



直接話すのは初めてで、
ほぼ初対面みたいなもんなのに、

緊張したあたしに反して、
彼女は屈託ない笑顔を
あたしにむけた。



あたしは曖昧にはにかんで、

早くこの場から離れようとしたら、



「あっついよねー。

ねぇ、かき氷でも
食べに行かない?」



いきなり元カノは、
あたしを誘った。



「ほら、あっち、
ここ来るまでの道に
かき氷やってる喫茶店
あったじゃない?」



「…はぁ」


確かにあるけど…。

でも、何で?!



「ね、行こ、行こ!!」


「…え、ちょ、」


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