ゴシップ・ガーデン
あたしの返事を聞かず、
元カノは、あたしの背中を
ぐいぐい押してうながした。



勢いにおされて連れ出された。



個人的な嫉妬から、
元カノに対して
苦手意識を持ってたけど、

拍子抜けしてしまうような
明るさと強引さに
戸惑ってしまった。




「冷た〜い!!生き返る〜。

炎天下でほんと茹だるかと
思ったわぁ。

美味しいね♪」


かき氷の宇治金時を元カノは
勢いよく美味しそうに食べた。



あたしは、みぞれ味の氷を
一口口に入れた。


美味しいんだけど、
初“夏”が、この人とだなんて…。



元カノは、
名前を紗彩(さあや)と言った。



「…ヒオカ先生と
約束でもしてたんじゃ
ないんですか?」


思い切って尋ねてみる。



「ううん。してない」


元カノは即答した。



「…じゃあ、
何か用があって…?」



今度は即答しなかった。


元カノは少し目を伏せ、
かき氷をストローで
サクサクと崩し、

意味深にゆったりと口にした。


「…修ちゃんが、
どんな先生してんのか
興味あったんだぁ」




あたしの頭ん中の
警戒心のスイッチが入った。



今の言葉の、
機微をとらえようと、

元カノの表情から
目が離せなかった。



だけど、元カノは
すぐに明るい笑顔になって、


「仕事の外回りで
近くまで来たからさ、
寄ってみたんだ。

けど、ダメだね。

部外者が簡単に
校内入れるわけないもん」


テヘっと舌を出した。



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