ゴシップ・ガーデン
ホントにヒオカ先生を
ただ見にきただけ?



「ねー、ねー、
生徒サンから見て、
修ちゃんってどう?」


「どうって…?」



「人気ある?!」


「…さぁ、あたしは
ヒオカ先生の授業
受けたことないんで…」



「そうなんだ。

でもさ、見る限りあんまり
熱血教師タイプじゃないでしょ?
草食だし。

どーしても
学生時代を知ってる身としては、
あの修ちゃんが
教壇で熱弁してるイメージ
わかないんだよね〜」


元カノは言いながら一人で
クスクス笑ってた。


修ちゃんを、知ってる身…。



美味しそうにかき氷を食べる
元カノを前に、

あたしは、
せっかくのかき氷を
味わうどころじゃなくて、

早くここから離れたい
その一心で必死で口に運んだ。






元カノと別れて、
校内に戻っても
頭が働かなかった。



問題集を見ても
頭に入ってこない。



2階の図書室の窓から
バラの花壇を見下ろした。



花壇の前で、
授業を終えたヒオカ先生が
背伸びをしている。



見つめながら、
あたしの心の中は
不快にザワザワしている。



ヒオカ先生が、
ふとあたしのいる窓の方に
顔を向けた。


目が合うか合わないかのところで、
あたした窓から離れた。




元カノは、何だって、
あたしを誘ったりしたの?



あたしの気持ち知ってて、

あたしに対して、
“修ちゃんはあたしのものよ”、
って宣言でもしたかったんじゃ
ないかと勘ぐってしまう。



自分が情けなくて嫌になる。



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