ゴシップ・ガーデン

紗彩…


ヒオカ先生に元カノからの電話？！



なんで？！


電話で話しながらヒオカ先生が
少し笑った。



何の話してるの？！


電話をし合うくらい、
関係が進んでるってこと？


ホントにヨリを戻しちゃったの？



待ってよ、ヤだ。



頭が真っ白になって、
何も考えられなくなった。



やめて、お願いだから、
ヒオカ先生をとらないで！



叫びたいような気持ちにかられて、
あたしは立ち上がって、
ヒオカ先生の側にかけよった。



ヒオカ先生は、「じゃあ」
と言って電話を切った。



腕まくりしたワイシャツの袖を
すがりつくように掴んだ。



自分でもどうかと思ったけど、
どうにも止めることが
できなかった。




「佐野さん？」


ヒオカ先生は、
いきなりのことにビックリして
目をパチパチさせた。


状況を把握しようと、
あたしを見下ろす。




「…紗彩さんは、
あんなに美人なんだから、
他にもイイ人いるでしょう？！」


うまく声にならない。


こんなのただのヒガミだ。


わかってる。


だけど、必死だった。




「え？」


ヒオカ先生は、
瞬きを忘れたように目を凝らして
じっとあたしを見つめた。


戸惑いと驚きがかいま見える目。



そりゃ驚くのも無理はない。


あたしだって、
自分が何言ってんだか
わかんないんだから。