ゴシップ・ガーデン
思ったより大きな声になった。


ヒオカ先生は、びっくりして
あたしを見た。



「今のメガネは
フレーム細いけど、
前のは、もうちょっと
太かったよね?!」


「うん、そう」



顔を合わせた
あたしたちの空気が
一瞬で変わった。


探り探りの
ぎこちない生徒と先生から、

まるで突然、
曲調の違うメロディーに
切り替わるように、


懐かしいような、
気恥ずかしいような、

ちょっと
くすぐったい空気。



ヒオカ先生が
あのメガネ君だったんだ!!





千夏姉の家での飲み会。


友人たちが、つぶれて
眠ったり帰ったりする中で、

一人最後まで責任もって
片づけてる男の人がいた。



大人しそうなメガネ男子。



顔も名前も、
記憶からは思い出せない
ままだけど…。




「千夏姉の世話になってるから
片づけは、あたしがする」

あたしはそう主張した。


だからこそ、
みんなは、あたしに任せて
帰って行った。



それでも


買い出しから、
片付けまで

きちんと最後まで
して帰った唯一の人。


あたしのことを
「シイナさん」って
呼んでた唯一の人。



それが
ヒオカ先生。




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