ゴシップ・ガーデン
『え?説得?あたしがですか?』


何を?


きょとんとしながら
サラダを受け取った。



『説得…っていうか、
後押しっていうか…』


『どういうことですか?』



『この前、大学卒業以来
初めてゼミ会したんだ。

千夏の結婚式で
久々に大学の頃の仲間に会って、
懐かしいねーって。

また集まろうって話になってね。

教授も呼んで。

話の中心は、
教授の研究の話だった。

教授は、近々新しい研究チームを
立ち上げるみたいで、
その研究テーマは、
修ちゃんが興味持ってた
分野だったの。

その時に教授から
修ちゃんに話が出たの。

大学に戻って、
教授のチームに参加しないか、
って』



『大学院に編入ってことですか?』


思いもよらない話だったから、
あたしは間の抜けた声で聞いた。


元カノはうなずく。


『そう。

うちの大学の
生化学研究室の教授は
その世界では有名でね。

でも教授一人で
研究してるわけじゃなくて、
日々実験に明け暮れてんのは
学生なわけ。

大学時代、
修ちゃんはすごく研究熱心で
しかも優秀で、
大学院生がやるような実験も
任されてて、
一番成果をあげたの。

教授もすごく期待してたし。

修ちゃん、
大学院の博士課程に進んで、
研究職につくのが夢だって
ずっと言ってた』



初めて聞いた、ヒオカ先生の夢。



以前、
**大学のオープンキャンパスで
ヒオカ先生に会ったとき、

研究内容を聞いたら、
イキイキと答えようと
してくれたことを思い出した。



研究、楽しかったんだろうな
って思った。



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