ゴシップ・ガーデン

目を見開いたあたしに、

ヒオカ先生は、
目を細めて微笑んだ。


「上手くいかなくて
心が折れそうなとき、
佐野さんの存在に助けられた。

見ていてくれる、
楽しみにしてくれてる人がいるって、
それだけで十分な支えになった。

今こうして咲いてるのは、
僕だけの力じゃないよ」



…あたしのこと、
そんなふうに
思ってくれてたの？


あたしは
信じられないような気持ちで、
まじまじとヒオカ先生を見た。



すごく、うれしい。




「大丈夫だよ。
心配しないで。

倒れたけど、
折れてるのは枝だけだよ。

幹はなんとか無事だから、
また秋には
花を咲かせてくれる」


誇らしげにヒオカ先生は、
バラに目をやった。


「ほら、見てあげて。
暗い顔してないで。

せっかくキレイに
咲いてくれてるのに」




あたしも
つられてバラを見る。



３年目の今年の春。
満開のバラ。



キレイなものって、
それだけで
価値があるんだわ。


こんな誰も通らない場所でも
なんて誇らしげに
咲いてるんだろう。


「うん、ホントにキレイ。
ヒオカ先生、天才だよ」