ゴシップ・ガーデン
「優しい人からは、
自分から離れてあげなきゃ
いけない。

って前にね、
お母さんが言ってたんだ」



ヒオカ先生の車で
送ってもらう道中に
話した。



父と会ったときのこと。

父の再婚のこと。


祝福する気持ちと、

もう父とは会わないって
決めたこと。




離婚した女の
ただの連れ子のあたしを、
いつまで可愛がって
くれるんだろう。


あたしはいつまで
父の娘でいられるんだろう

…って、いつも不安だった。



父に新しい奥さんと子どもが
できたって聞いたとき、

ああ、このときが
ついにきちゃったって思った。



父は普通のサラリーマンで、
すごく裕福ってわけじゃない。


稼いだお金や、
愛とか真心とか、

いろんなもの全部、
新しい奥さんと
本物の子どものもので
あるべきだと思う。



寂しくても仕方ない。


あたしは縛りたくない。



父や、新しい家族から見れば、

あたしの存在はこの先、
少なからず負担になる。


妻や子は嫌な気にも
なるだろう。



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