ゴシップ・ガーデン
「心配しないで。
誰にも言ったりしないよ。

どういうつもりで、
あんなことしたのかって
問いつめる気もないし。

付き合ってとか
脅迫したりしないから、
安心してよ」


だからあまり
緊張しないでほしい。


そう思いをこめて、
あたしは
にっこり笑って言った。




「…心配とか、
そうじゃなくて、
…俺は、……」


ヒオカ先生は、
何か弁解しようとしたけど、

あたしはすぐ首をふって
先生の言葉を遮った。



ヒオカ先生が、
どんなつもりだったかなんて

さほど大きな問題じゃない。



だって、

「あたし東京行くもの」



母を見てて、
ずっとそう思ってた。


あたしは
恋愛に振り回されたり
したくない。



そもそもの出会いも
なかったんだけど、
興味がないこともなかったけど、

それでも自分から積極的に
恋したいって思ったことなかった。



そんなことよりも、

「あたしのすべては、
ここから出ていくことだもん」



あたしにとっても、
母にとっても、
それが一番いい。


その準備は、
すでにできてる。


恋なんて、
どこにも残して行く気ない。



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