ゴシップ・ガーデン
「…」

ヒオカ先生は、
言いかけた口を
静かに閉じた。


あたしの言いたいこと
悟ってくれたみたい。



「あんなこと
学校にバレちゃ
先生もマズいでしょ」



「…あ、いや…」


はっきり否定せずに、
困ったように語尾を濁した
ヒオカ先生に、
ちょっと悲しくなったけど、
仕方ない。


“先生”としては、
真っ当な反応だと思うよ。



あたしは気を取り直して、
本題にうつった。


「だから、
なかったことに
してあげるから、
またして」


「え?」

ヒオカ先生は、
言ってる意味
わかんないって顔で
あたしをまじまじ見た。



あたしも、
まじまじ見返して
答える。


「キス」




こないだのキス、
忘れてあげるから、
またキスして。




「…え?」


言ってる意味、
もう通じてるはずなのに、

またヒオカ先生は
聞き返した。

心底不思議そうな顔で。



「冗談で言ってる
わけじゃないよ。

あたしのこと、
別に嫌いじゃないでしょ?」


キスしたくらい
なんだから。




ヒオカ先生は、
困りながら
うつむくように
小さくうなずいた。


混乱中って感じだけど
嫌々ってわけでもなさそう。


なら、大丈夫だよね?


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