ゴシップ・ガーデン

あれからヒオカ先生とは
一度もキスしてない。


裏庭には度々行ってる。


会って、何気ない話もする。



『キスして』

って、あんなに思いきったこと
言ったわりに、
現実は、拍子抜け。



『…ダメだよ』

少し考えてためらいがちに
ヒオカ先生は、言った。

『学校は…ちょっと…』



…う〜ん、…確かに。
言い分はごもっとも。


『じゃあ、どこならいいの？
先生の家とか？』


『職員住宅だから』


無理…と、
まぁ、撃沈してしまったわけだ。



以来、健全な密会が続いてる。


たんたんとした夕暮れ。




バラの手入れをするヒオカ先生を
あたしは少し離れた場所から眺めてる。



「黄色いバラの花言葉って、
あんまりイイ意味じゃないでしょ。
だからなんかちょっと残念」



「そうかな？
どんな色でもバラはバラだよ」

そう言ってヒオカ先生は、
小さく笑った。




見事に咲いた
あたしの黄色いミニバラ。



黄色のバラの花言葉は、嫉妬。