ゴシップ・ガーデン
土曜の昼下がり。

天気は上々。



小中学生のころ参観日すら
仕事を休んでくれなかった母が、

めずらしく休みをとって、
時間をかけて
あたしのヘアメイクをしてくれた。



あたしは「そんなの必要ない」
って言ったんだけど、



「結婚式ってのはね、
精一杯キレイにしてくのが
招待された側の礼儀なのよ」

って言われてしまったから
仕方ない。


千夏姉のためだ。




いつもはおろしっぱなしの
髪をアップにして、
薄くメイクをした。



母はもっと派手にしたかった
みたいだけど、

普段メイクなんてしないあたしは、
極力薄くメイクを頼んだ。


「あら〜!!可愛いじゃないの」

母があたしを絶賛した。


鏡に映る自分は別人みたいで
戸惑ってしまった。



「どこかのお嬢様みたいよ」


「…褒めすぎ」


「気をつけて行ってらっしゃい」

母はニヤニヤしながら
送り出してくれた。



結局母は昨夜も遅くまで
帰ってこなかったみたいけど、

顔はいつもと変わらず元気そうだ。


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