ゴシップ・ガーデン
千早の台詞の中に、
自分にも、
覚えがあるような感情があって、
ハッとした。


違う。

そう思いたくて、
あたしは頭の中で
首を横にふった。



けど…


ヒオカ先生が、
あたしの知らない女の人と
一緒にいるのって、つらい。

仕方のないことだって
わかっていても。


さっき、キスしたのはあたし。


それでも、過去、
もしくは現在進行形で、
あたしと同じコトしたオンナがいる。

ううん、もっと親密なことだって。


それはあの女の人かもしれないし、
別の女の人かもしれない。


年齢的に普通のことなんだけど。



あたしの知りえない
ヒオカ先生の過去が、
あたしの勝手な想像力が、

あたしを追いつめていく。




あたしの頭と胸を渦巻く
不快なこの感情は、

まさしく、

黄色いバラの花言葉
そのものだった。






ケータイが震えた。


ヒオカ先生からのメール。



『明日何時に帰る?
迎えに行くから一緒に帰ろう』


胸の奥が、弾んだ。

ピョンピョンって。


不快な気持ちはどこへやら、
何度も読み返して
つい顔がにやけてしまう。





「シイナ今、好きな人、
いるんだ?」


千早があたしの顔をのぞきこんで、
確信をもってニヤリと笑った。




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