ゴシップ・ガーデン
「シイナって、
わかりやすいよね〜」


わかりやすいって、
どういうこと?


千夏姉は、
あたしの気持ちお構いなしに
クスクス笑う。


あたし、無関心を装うの
得意だったはずなんだけど。


頬と耳が熱くなって汗ばんだ。

思わず下を向く。



「パーティーのときさ、
シイナずっと修平のこと見てたでしょ?

目を見て、ピンときたんだぁ。

いーじゃん、恥ずかしがんなくても。
良い奴だよ、修平」


千夏姉は、あたしの横に座って
ポンポンと肩を抱いた。


おずおず顔を上げる。


目が合うと千夏姉は、
ニコリとうなずいた。


「あんまりね、
くわしく聞き出せなかったんだけど、
修平今はフリーのはずだよ。

…でも、二次会で
他にもフリーの奴がいて、
合コン主催するって
盛り上がってたの見たから、

…修平も誘われてちゃうかも
しれないなぁ」


千夏姉は顔をしかめた。



フリーと聞いて、
一瞬安心した。


だけど合コンって、
追い討ちかけられて、

「…行くかどうかは
先生の自由だし…
フリーなら行くの自由だし…」

弱々しい声になった。


何動揺してんだろ。

ほんとに好きみたいじゃん。


「修平は真面目だから
いい加減に付き合ったりしないと思う。

だから取られたら、
取り返せないかもよ。

だからシイナ頑張って!」


千夏姉は、
あたしにガッツポーズしてみせた。


いい加減につき合ったりしない…?


じゃあ、あたしとの関係って…。

チクリと胸の奥が痛んだ。


けど、真面目だろうと
いい加減だろうと、

構わないから少しの間だけ……って、
そういうのを望んだのは
あたしだ。



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