ゴシップ・ガーデン
「…今は受験があるから…。
恋愛どころじゃないもん」


「シイナだったらさ、
今から必死で勉強しなくてもさ、
今のままでも良いとこ
推薦で行けるんじゃないの?」


あたしは、小さく首をふった。


行けるとしても
地元じゃダメなの。

あたしは、どこか遠くへ
行きたいんだから。


「第一、教師と生徒なんだよ?
無理に決まってんじゃん」


「教師と生徒だって恋愛は自由。
卒業までバレなきゃいんだって。
いるよ〜、あたしの知り合いにも
先生と結婚した子」



そう言われたって、あたしは……。







千夏姉の新居からの帰り。


せっかくここまで出てきたんだし、

この辺で一番都会な駅で
途中下車した。

駅近の本屋に行くために。


うちの近所
小さい本屋しかないんだよね。



期末試験の結果待ちの状態
なんだけど、
今回いつもより
問題解くのに苦戦した。

焦った。


受験に失敗したら本末転倒。


何のために今まで必死で耐えて、
頑張ってきたのかわからない。


男一人に
気持ち振り回されてる場合じゃない。

もっと勉強に集中しなきゃ。



あたしは時間をかけて
中身を吟味して参考書を購入した。


お腹すいて、時計を見た。


7時だ。

千夏姉の家出たのも
夕方だったし無理ないか。




レジを出るとき
見覚えある女の人が、

ファッション雑誌を
立ち読みしてるのが目についた。


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