異例な彼氏【短編】
失恋
私の名前は、希咲 彩。

たった今、私は…


失恋した。


土砂降りの雨の降る、
真夜中零時の
歌舞伎町の真ん中で、

私は、

たった今、
私を振った男の去り行く背中を見つめながら、
傘も持たず、
唯々、茫然と佇み、

土砂降りの雨に、

身を打たれていた。


おそらく、

ずぶ濡れになる私は、
沢山の異様な目に、
さらされていただろう。


だが、

私の視界には、

そんな景色は全く入ってなく、

真っ暗な中に、

私を振った、
彼の
段々と遠くなる背中だけが、
映っていた。
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