異例な彼氏【短編】
彼の姿は

見えなくなり…



どれくらいの時間が
流れただろう


私は…

ずぶ濡れになった自分の体に寒さを覚えて、
我に返り、

静かに、一歩を踏み出した。


ふと、誰かの視線を感じて、
私は、茫然とした眼差しのまま、
その方へと、
視線を移す。


一人の男が、

私を見ていた。


真っ白なスーツを着た、すらっと背の高い、
若い男。


私は、
足を止め、
茫然と男を見つめる。

男は、
私の目ををじっと見つめたまま、
ゆっくりと、
私の方へと近付いてきた。
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