異例な彼氏【短編】
私は、
昨夜からの記憶を脳裏で繰り返しながら、
徐に自分の下着を手に取り、
仕方なく身に付けた。

そして、

仕方なく
服を着る。



シャワーの音が止み、
暫く静まり返り、

男が、
部屋に戻ってきた。


「着たか」


目の合った視線を
私は
透かさずそらした。


しかし、
男が、
ずっと立ち止まって、
じっと私を見つめているのを感じて、
私は、
ゆっくりと
男の方へと視線を向け、
再び、視線を合わせた。


そして、
私は、
小さく呟く。



「どうして………
どうして…抱いてくれなかったの?………」



男は、
黙っていた。



そんな
男の態度に、
もう一人の私が
目を覚ます…



「抱けば良かったじゃない!」


今度は、
強い口調で言う私…
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