センセイとわたし
「あいつとはどうした?」

「あいつ?」

「あいつはさっき喧嘩してただろ?あいつは櫻井なつみ
って言うんだ。」

櫻井なつみって言うんだ・・・。

「そうなんですか・・・。」

「なんで喧嘩したんだ?」

喧嘩の理由を話した。

さいごに言われた「覚えとけよ」って言葉も忘れ
られなくてセンセイに話した。

「それは俺が守ってやるから大丈夫だ。なんかあったら駆けつけるし
助けてやる。」

その一言でわたしは怖くなくなったし、励まされた。
守ってやる。その言葉が忘れられなかった。

「こんな時間か。送ってやるよ。」

「えっいいですよ」

送ってやるなんて緊張しちゃうよ・・・。

「世の中は物騒なことがあるし、お前の担任だからな」

お前って言われて特別な感情になってきた。

「わかりました。」

センセイの車に乗ると煙草のにおいとせっけんのにおいがした。

大人の香り・・・。

「家はどこだ?」

道を教えたけど帰りたくなくなった。

「センセイ」

「なんだ?」

「寄り道しない?

ダメだとか怒られたりするかと思ったけど、そんなこと言わなかった。

「どこに行きたいんだ?家の人に伝えろよ」

センセイ優しかった。

「ありがとうセンセイ。行きたいとこはねぇ、なくて
ドライブしたい」

「ドライブね」

センセイと話が盛り上がって、家に着いた。

「じゃあな。明日な。」

「今日はありがとうございました。」

「さようなら」

「さようなら」

今日はいい日でもあったし悪い日でもあった。

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