【短】意地悪な恋慕



その度にズキズキと胸は痛み、だけど未博に嫌われたくないから痛む胸には気付かないフリをして。



あたしは未博の幼なじみで恋愛のよき相談相手という立場を今まで乗り越えてきた。



だから、こんな今起こっている現状は過去にも何度かあって乗り越えてきたから上手く笑って"よかったね"って言えるはずなのに。



――…あれ?



なんか、今日は上手く笑えないや…何で…?



『うっ…ふぅ…。』



無意識の内に溢れだした涙が瞳から零れ落ち、未博の携帯のディスプレイに小さな小さな水溜まりを作っていく。



未博の前では泣かないって決めていたのに。



それとは反して涙が次から次へと溢れ、慌てて寝転ばせていた身体を起こし手の甲で拭うけどそれは意味を持たず、"止まれ止まれ"って心の中で何度唱えても拭う手の甲は濡れていくばかり。



それでも涙を拭い続けていたら不意に手首を未博の大きな手に掴まれた。



「怜莉。目ぇ傷付くだろ?」

『…やっ、離し、てっ。』

「怜莉!」



――…ハッと息を飲んだ。頭が上手く着いていかない。



え、今、何が起こったの…?


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