【短】意地悪な恋慕
あたしの肩に顔を埋めて項垂れる未博に言えば、「好きじゃないし。」項垂れたまま即答でそう返ってきて、あたしは眉間にシワを寄せる。
『何、それ。』
「だからー、怜莉にヤキモチ妬いて欲しかったんじゃん?」
まぁ無理でしたけど。
拗ねたような口調で付け足し言う未博の言葉にまたあたしの頭の中はぐちゃぐちゃに乱れていって。
肩から顔を上げた未博にチュッとリップノイズを鳴らしながら唇を再び奪われると、あたしの顔はカッと一気に熱を帯びていった。
『みみみひみひ未博…っ!』
「言えてねぇし。」
『未博…っ!』
「怜莉だいすきっ。」
満足そうに笑顔を零して、またあたしを腕の中に収める未博にはなんだか勝てそうにないな。と未博の背中にあたしも腕を回し返すけど。
だーけーど…!!
『あたし、未博に恋愛相談されてすんごく胸痛かった…。』
そう、これだけはどうしても未博に言っておきたかった。
だって、未博ばっかりあたしのこと好きだって思ってたら可哀想だし。
ちゃんとあたしも好きなんだよって、伝えたいから言っておきたかったんだ。
素直じゃないからこんな遠回しな伝え方しか出来ないあたしを許して欲しいけど。