Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
「なあに?響さんじっと見て。」

「あ?いや…なんだってそんな黒の色っぽい水着を選んだんだよ?千茉莉のイメージだともっと可愛いワンピースか何かだと思っていたからさ、…おまえそれすげぇエロイぞ?絶対に俺の傍から離れるなよ?」

「エロ…ってひど~い。響さんとつりあうようにって大人っぽい水着をワザと選んできたのにっ。大体雑誌で黒の水着見て『千茉莉に着せてみたい』って言っていたのは何処のどなたよ?
…もう!知らない。」

「絶対に速攻でナンパされ…えっ?あ…千茉莉っ?」

プイと怒ってそっぽを向いたかと思うといきなり海へと駆け出していった千茉莉を暫くポカンと見つめる。

俺につりあうように…。そんなこと考えていたのか?

そんな殺人的に可愛い台詞を駆け引きでも何でもなく言えてしまう千茉莉の純粋さがとても愛しいと思う。

誰かに盗られてしまう前に結婚して本当に良かったと、しみじみと考えていると千茉莉が波打ち際で二人の男に声を掛けられているのを目にとめ、ハッとして立ち上がった。

まったく!言わんこっちゃない。目を離して、物の一分でこれだ。

ゆっくりと歩いて千茉莉の元へ…
行ったつもりだったけど、実際にかかったのが、せいぜい十数秒だったっていうのは、俺の足がすげー長いからと言う理由にしておこう。



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