Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
腕の中で小さな身動きを感じて薄く瞳を開く。

目覚めたのかと思ったが、千茉莉はまだ静かな寝息をたてて眠っていた。

俺にしっかりと細い腕を絡め、小さな口元に幸せな笑みを浮かべて…。

その愛らしい唇の端に、口移しで差し出した愛情の名残を見つけ、狂おしいほどの感情が迫ってくる。

起こさぬようにそっと舐めとり微笑む俺は、きっとこの上なく幸せな顔をしているのだろう。

テーブルに広げられたチョコレートの包みと、空になったシャンパンのボトルを見つめ、胸に刻んだ千茉莉の想いの深さと昨夜の甘い夢を紐解くように思い出してみる。


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