Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
千茉莉が俺のために作ったチョコレートは、シャンパンに良くあった。

ほのかな苦味と舌に残らない微妙な甘さの加減が酒と相性が良く、甘いものがダメな俺でも無理することなく口にすることが出来たことには驚いた。

千茉莉がこのチョコレートを作る決心をしたのは、去年のバレンタインの直後だったと言うから、チョコレートが食えないと理由をつけて、散々千茉莉を貪り喰ったあの夜が相当堪えたらしい。


それを思うと、少し可哀想なことをした気もする。

だが、こうして出来上がった芸術品を目の当たりにしてみると、あれも彼女の才能を開花させる為の必然だったのかもしれない。


俺に出逢う事も…


二人が愛し合うことも…


全ては必然で


最初から定められていた


運命だったのだと思う。


< 106 / 130 >

この作品をシェア

pagetop