Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
俺だって忙しくて、十分千茉莉を構ってやれていないのだからお互い様だし、仕事なんだから仕方が無いってのは分かっちゃいるんだけどなぁ…。

ヤッパリ頭と心というのは別物で、どんなに自分を納得させようとしても、最愛の妻が忙しくて構ってくれないと言うのは面白くない。

12才の年の差というプライドもあって、本人の前では素直に言えないが、寂しくてどうしようもなくなる時だってある。


相当重症だ。


俺が女に溺れるほど夢中になる日が来るなんて、千茉莉と出逢うまでは思ってもみなかった。

暁や龍也の溺れっぷりを、いつも何処かで呆れつつも、そこまで深く愛する女性と出逢えたあいつらが羨ましいと、心のどこかでずっと思っていた。

恋人運の悪かった俺には、そこまで深く愛せる相手に出逢う事など無いかもしれないと思っていたからだ。

だが、今の俺の溺れ具合を考えると、やっぱり類は友を呼ぶって事なんだろうか?

要は俺の場合、ちょっとばかりあいつらよりも、運命の女性と恋に落ちるのが遅かったというだけだったらしい。


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