Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
「ちょっ…響さん?ここお店の前っ…」

「大丈夫、この角度からは見えねーって」

「もぉ…。でもどうしたの?」

「んー…千茉莉が足りなくなったから、栄養補給に来た」

「クスクス…。もしかして、デートのお断りに来たのかと思ったじゃない。今夜は遅くならない?」

「いや、俺は大丈夫。7時にはあがれるよ。明日も休みをもらえたし、今夜はゆっくりデートできるぞ。千茉莉は明日休みだったよな?」

「うん、明日はお店の定休日だから。あたしも今日はパパにお願いしてあるから、7時ごろにはお店を出られると思うわ」

「そうか…。じゃあ、今夜は千茉莉の好きなところへ行こうか?少し遠出して何処かで泊まってもいいぞ」

「ホント?じゃあ、海が見たい。ドライブに行こう?」

「クス…かしこまりました。姫のご要望とあらばどこへでもお連れしましょう」

かしこまった俺の物言いがおかしいと笑う千茉莉の柔らかな髪が頬を撫でる。

一度触れてしまうと、離れるのが名残惜しくなり、いつまでも抱きしめていたくなるが、休憩時間も迫ってきて、そうも言ってはいられないのが現実だ。

俺は渋々千茉莉を開放すると、今夜の待ち合わせ時間を確認してクリニックへと戻ることにした。

もちろん、別れ際にSweet Kissをせしめたのは言うまでもない。

千茉莉は突然のキスに酸欠気味だったが、まあ、3時のおやつっていう事で、夜までの繋ぎの栄養補給だと思って我慢してもらおう。


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