Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
だが、慣れというのは恐ろしいもんだよな。

最初の頃はかなり落ち込んだときもあったが、何度も同じ事を繰り返すうちに、いつのまにか「またか」と、アッサリ別れを受け入れるようになってしまった。

本気のつもりで付き合っていても、心のどこかで、またいつもの繰り返しになるのではないかと警戒して、距離を置いている自分がいたのだと思う。

こんな別れを切り出されるたびに、理想の彼女像は高くなっていった。

優しくて、芯が強くて、俺の見かけではなく本質を愛し、心を癒してくれる存在。
ついでに、美しければこれ以上言うことは無い。

あ?贅沢すぎるって?

まあな、自分でもそんな女がいるはず無いとは思ってたさ。

だから、最後の彼女に別れを切り出されてからは、一生独身で過ごすのかもしれないと、心のどこかで諦めていた。


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