Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
俺は、勘違いしていたんだ。

派手なタイプの女にばかり付きまとわれるうちに、いつの間にかまったく逆のタイプの女性に憧れていたんだと思う。

そして、大人しく物静かな雰囲気を、癒しや包容力のようなものだと、いつの間にか思い込んでいた。

だが、本当の意味で俺を癒すのはそんなものじゃなかった。

だから、彼女から別れを切り出されたときも、無理にでも引き止めたいと思わなかったし、冷静でいられたのだと思う。

もしもこれが千茉莉だったら…?

考えただけで心臓を鷲掴みにされた気分になる。

絶対に冷静でなどいられないし、彼女が泣き喚こうと、監禁してでも俺の傍に置こうとするだろう。

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