Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
惚れ直した…という声に出さない唇の動きで千茉莉の心を知り、顔が自然と緩んでくる。

だが、龍也の前だと言う事を忘れているわけじゃない。
にやけないように何とか顔を引き締めて、龍也を振り返ると、相変わらずニヤニヤと俺を見て何か言いたげだ。

「…んだよ?龍也。大体お前が何でここにいるんだ?」

「あぁ?俺もバカンスってトコかな。一応自分のホテルの使い勝手とかサービスの良し悪しを客の立場からみることも必要だからな。」

「だからって、俺達と同じ日にしなくても。」

「お前たちにも色々協力してもらおうと思ってさ。新婚カップルが満足できるサービス提供を考えていかないといけないからな。ウエディングプランの参考にもしたいし…。」

「そう言う事かよ。まぁ…良いけどさ。お前が好意だけでスイートなんて用意するとは思っていなかったよ。まぁ、暁のときみたいな策がある訳じゃないなら別に良いよ。」

「ははっ、暁のときみたいな事は無いから心配するな。言っとくけどあれだって本当は好意だったんだぜ?まあ、それはいいさ。響にはせいぜいサービスさせてもらうよ。じゃあ、また連絡するから。」

そう言うと聖良ちゃんと子ども達のほうへと一旦歩き出して、ふと思い出したように足を止めた。

「ああ、そうだ。俺達の部屋、おまえたちのスイートルームの向かい側なんだ。あの階にはスイートが二部屋だけしかないから、俺達の貸切だ。…思いっきり騒いでも大丈夫だぞ。防音は完璧なはずだから。」

防音は完璧?…ってそう言う意味か?



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