Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
龍也たちを見送ると、すぐに千茉莉を後ろから羽交い絞めにして腕の中に閉じ込めた。

思い切りギュッと抱きしめて首筋に顔を埋めて、千茉莉の香りを胸いっぱいに吸い込む。

「ひゃっ…ひ…びきさんっ?」

「一応、龍也の子ども達の手前、さっきからずっとこうしたかったけど、我慢してたんだ。」

あの男たちに声を掛けられ、触れられそうだったことを思い出すと、ザワザワと胸が波立って、彼女の香りに包まれないと落ち着く事もできそうになかった。

千茉莉に止められなかったら絶対に、あの二人を殴っていた自信はある。

…自慢できないけどさ。

「あんまり心配させるなよ。おまえは俺の傍にいればいいんだ。大体、離れたからこうなったんだってわかっているんだろ?」

「あ…うん、でも謝ったでしょ?」

「何言ってるんだ。ちゃ~んと俺が満足するまで謝ってもらわないとなぁ。あんなキス一回くらいで許してもらおうなんて甘いぞ?」

耳朶を噛むようにして低く囁くと、腕の中で細い体がブルッと震えた。

「クス…千茉莉感じてる?…俺に心配かけたんだから今夜はそれなりの覚悟で謝って貰わないとなぁ?まったく、ちょろちょろと一人で何処へでも行くからヘンなのに声をかけられるんだぞ?」

「だって…響さんあたしのことエロイって言ったモン。」

俺の弱い上目づかいでウルウルと見上げてくると一瞬ひるんで腕が緩んだ。

その隙を見逃さず千茉莉は俺の腕からすり抜けると、ベェと舌を出して一人で海に飛び込んでいってしまった。


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