Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
いつものクリッとした大きな目は、冷たく細められ、眉間には深く皺が刻まれている。
ユラリと怒りのオーラを滲ませて、一歩一歩ゆっくりと歩いてくる千茉莉からは、殺気が滲み出している。


こっ…こえぇ…。


壁につきたてられた包丁をグイッと引き抜き、その切っ先を見つめる目には、優しさの欠片もなかった。

初めて見る俺の知らない千茉莉の表情(かお)。
その冷たさに、全身の血が凍りつくのを感じた。


「チッ…外したか」

おっ…俺、殺されるのか?

理由はわからんが俺が悪かった。
もう眠いと言ったらちゃんと寝かせる。
朝っぱらから強引に押し倒すことも絶対にしない。
どこへでも連れて行くし、晩飯も俺が作る。
マッサージだってしてやるし、掃除も洗濯も全部俺がする。

だからいつもの千茉莉にもどってくれよぉ~っ!


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