Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
昨日のことも覚えていない、明らかに別人のような響さん。
お酒に酔うと人格が変わる人がいるって聞いたことあるけど、響さんもそういうタイプだとか?

…まさか…朝から人格が変わるほど飲んでいるってこと無いわよね?

それに、お酒には強い響さんが今まで自分が分からなくなるまで酔ったところなんて、見たことが無い。

他に考えられる事といったら…

実は双子の兄弟がいて、あたしをからかっているとか?

…普段ならそんな事絶対に信じられないけれど、響さんが自分から甘いものが食べたいと、リクエストをしてくる今日ならば、双子どころが五つ子だって言われても信じてしまえそうだわ。

混乱した頭でいろんな可能性を必死に考えているあたしを尻目に、角砂糖を3個もコーヒーに落してかき混ぜている響さん…


ありえないってばー!あんな甘いコーヒーあたしだって飲まないよ。


信じがたい光景から現実逃避しようと、あたしはキッチンへ逃げ込んだ。

とりあえず彼から離れて大きく深呼吸をした後、雑念を振り払うように大好きなお菓子作りに集中することにする。


気にしない、気にしない。


これは夢に違いないんだから…


きっと、あと30分もしたら響さんのキス攻撃で目覚めて、いつもの朝を迎えるのよ…。


呪文のように唱えながら、あたしはパンケーキを焼く準備を始めた。


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